もしもの時の葬儀屋さんの話
2026.05.16 / 生活
去年、父が亡くなりました。
しばらく経って、ようやくあの時のことを少しずつ振り返る余裕が出てきたので、忘れないうちに、ぼちぼち書き留めておこうと思います。
亡くなった直後って、悲しいとか寂しいとかの前に、やることが一気に降ってくる。
そのいちばん最初が、お葬式の手配でした。
我が家の事情:父の希望は「お葬式はしないでいい」
父は、お葬式を望みませんでした。
「家族だけで、静かに送ってくれればいい」と。
ありがたい言葉ではあるけれど、いざその場になって出てきたのは、たくさんの疑問。
- お葬式しないって、火葬まで何をするんだろう?
- 家族だけって、どこで?お寺は呼ぶ?呼ばない?
- そもそも、それっていいのかなあ……?
- ご近所には?親戚には?どう説明する?
「やらない」を選ぶときの方が、決めることがいっぱいある、という発見。
葬儀屋さんはできれば「もしもの時」の前に情報を集めよう
これが、いちばん最初に書き留めておきたいこと。
「もしもの時」は気持ちに余裕がない・・・やらないといけない事が次から次へとあるため、事前に情報を集め、2〜3社の葬儀屋さんと面談することを強くお薦めします。
でも、どうやって探そうかと、ひたすらWEBを見てもなんだかどのサイトも同じようで、騙されたらどうしようと、なかなか葬儀屋さんに連絡する勇気がなかった。
そこで私が使ったのが、ChatGPT。
「お葬式をしない形(直葬・自宅安置)を扱っている葬儀屋さん」「自宅まで相談に来てくれるところ」など、条件を入れて整理してもらって、ChatGPTに相談しながら2箇所まで絞り込みました。
自分ひとりで葬儀屋さんのサイトを次から次へと見るのは、心の方が先に疲れてしまう。
AIに整理してもらって、候補を絞ってから人と話す、というステップが私には合っていました。
事前に2〜3箇所動いておくと、こんなことが見えてきます。
- 値段の感覚がつかめる
- 説明のわかりやすさ、担当の方の人柄が比べられる
- 「ここなら任せられそう」が自分の中でなんとなく決まる
比べる相手がいないまま一社で決めると、あとから「これでよかったのかな」がずっと残ります。
びっくりするけど、連絡しても返事が来ない葬儀屋さんがある
調べていて、本当に驚いたところ。
問い合わせフォームから連絡しても、何日経っても何の返事もない、という葬儀屋さんが実際にあります。
元気なうちにこちらから連絡してこの状態だから、いざという日に頼れるかは、推して知るべし。
「返事の早さ」は、その葬儀屋さんの姿勢を測るものさし。
だから事前に2〜3箇所動いておくのは、ハズレを避ける意味でも効いてきます。
事前相談でも、けっこう心が削れる
「もしもの話」を自分の口でするのは、思っていたよりずっと重かったです。
元気だった人のことを「いなくなった後」として考える時間ですから。
ホールや事務所に出向くのは、それだけでハードルが高くて、気持ちが折れそうになりました。
そこで助かったのが、自宅まで来てくれる葬儀屋さんです。
- 慣れた部屋で話せる
- お茶を飲みながら、自分のペースで聞ける
- 気持ちがしんどくなったら、すぐに席を立てる
事前相談を考えるなら、「自宅対応してくれますか?」と一度聞いてみるのを、未来の私におすすめしておきます。
もうひとつ前もって聞いておきたい:「ドライアイスだけ」お願いできるか
これは、後から「先に聞いておけばよかった」と思ったこと。
もしご家族が自宅で亡くなった場合、葬儀屋さんを決めるまでのあいだ、ご遺体が傷まないようにする必要があります。
そこで前もって聞いておきたいのが、こんなこと。
- まずはドライアイスだけの対応をお願いできますか?
- その場合の値段はいくらですか?
これを事前に確認しておくと、亡くなった瞬間に「どこに葬儀全部をお願いするか」まで一気に決めなくて済みます。
ドライアイスだけ先にお願いしておいて、葬儀そのものはもう少し落ち着いてから考える、という時間の余白が作れる。
亡くなった直後は、頭が回らない。
「決めなきゃ、決めなきゃ」で焦って契約してしまうのを防ぐ、地味だけど大事な質問です。
我が家が選んだのは「フラワリングセレモニー」
最終的にお願いしたのは、フラワリングセレモニーさん。
お花屋さんが母体の葬儀屋さんです。
選んだ理由を、忘れないうちに書いておきます。
- お通夜なし、お葬式なしの形に、ちゃんと対応してくれた
- 自宅に火葬まで安置できる形を提案してくれた(家族それぞれが、自分のタイミングで思い思いのお別れができる)
- 最後のお別れの場を暗くしたくなかったので、お葬式で使うような白菊系ではなく、結婚式のようなカラフルなアレンジメントをお願いしたら、快く引き受けてくださった(お花屋さん母体の強み)
- 自宅で亡くなったので、ひとまずドライアイスの対応をしてくれて、「ゆっくり考えてください」と無理な営業感がゼロだった
- 契約の前に、明細を一つ一つ一緒に確認してくれた(ここがいちばん信頼できた)
- 社長さんをはじめ、コーディネーターさん、フラワーコーディネーター、納棺師の方々、皆さん本当に親切で感じがよかった
「お葬式をしない」を選ぶときに、ここが助かった
「お葬式しない=何もしない」ではない。
我が家の場合、自宅に安置して、家族それぞれが好きな時間に父のそばで過ごす、という形になりました。
カラフルな花に囲まれた父のそばで、お茶を飲んだり、思い出話をしたり。
父が望んだ「静かに送る」と、私たちの「暗いお別れにしたくない」を、両方かなえる形を、一緒に作ってくれました。
未来の私へ
葬儀のことを元気なうちに調べるのは、縁起でもないと言われがちです。
でも、いざ動かないといけない日が来てから「知らない」のは、もっとつらかった。
「やる」を選ぶのも、「やらない」を選ぶのも、知らないと選べない。
そして、お別れの場は、家族ごとに違っていい。
儀式の正解に合わせるのではなく、自分たちなりに「あのお別れで良かった」と納得できることが、その後を前向きに生きるために大事だと、今は思っています。